ゆる特許事務所

特許事務員による特許事務員のためのブログです。ゆるゆると特許法を勉強していきましょう。

特許事務とは

もう1月も終わりそうですが(笑)

あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願いいたします。

年のはじめなので、少し脱線して、特許事務のお仕事について書いてみます。

 

インターネットで「特許事務とは」と検索してみると、法律を駆使してバリバリ特許を取得する「パラリーガル」として、リア充な事務員のイメージ像がでてきますよね(笑)

 

実際には、そういう部分もあるし、そうでない部分もありますよね(笑)

 

特許事務でもっとも大切な仕事は、「期限管理」です。

いままでご説明してきたように、出願から登録になるまで、特許庁との間でいくつも書類のやりとりがあります。それらの書類の提出には期限が決まっていて、「期限を管理し守ること」が特許事務の仕事の核となります。この期限管理という仕事をベースとして、日常の業務の優先順位を組み立てて仕事をすすめます。急ぎの新規出願の依頼が入ったりすると、そちらが最優先になりますから、その日の優先順位を組み立て直すことになります。

 

そして、もうひとつ大切なことが、お客さまへの「サービス」です。企業の知財部にお務めの特許事務員の方とはちょっと感覚が違うかもしれませんが、特許事務所の場合、「サービス業」であるので、お客さまへ「質の高いサービス」を届けられるかが大切になります。もちろん、「サービス」とは無料でなにかしてあげることではありませんよ(笑)お仕事としてお金をいただき、それに見合う、またはそれ以上のものをお仕事としてお返しするということです。

 

「質の高いサービス」とは、たとえば、

  • 特許庁に提出する書類に間違いがないこと
  • 問い合わせに対してリスポンスが早く的確
  • すばやくミスのない報告書や請求書を発行すること

などなどですが、このようなことができるから「すごい」ではなく、「できることが当たり前」とみなされます。

 

他の意見をお持ちの特許事務員の方もいらっしゃるかもしれませんが、大方、方向性は同じではないかと思います。

 

このように、特許事務とは、地道で正確性が必要、でも、素早い反応も要求されるというお仕事なわけです。期限管理やお客さまの対応に追われて毎日を過ごしていると、目の前のファイルを右から左にうつすことだけに目が奪われがちになりますよね(笑)

 

私もそんな1人ではありますが、先日、自分が関わっている発明についてテレビで報道されているのをみて、目の前がぱーっと開かれた感じがしました。

 弁理士や技術者の方のように特許の内容に深く関われるわけではないけれど、

「あー、自分が関わった特許がこうやって社会の役にたっているんだな。微力かもしれないけど、人の役に立てているんだ。」

というのを見せていただいた気がしました。

 

冒頭の「バリバリパラリーガル」とは遠いようで近い(笑)、そんなお仕事ではありますが、特許事務員のみなさま、本年もがんばってまいりましょう!

 

ではまた!ゆるゆる〜。

 

意匠権について

みなさま、こんばんは。

 

今日は意匠権(いしょうけん)について書いてみます。

 

  過去記事

  http://yurutokkyo.hatenablog.com/entry/2018/04/21/235246

 

意匠権とは、物品のデザインの保護をするための権利です。法律としては、特許法とは別に、意匠法という法律が適用されます。

意匠とは何かについて、意匠法では第2条に書いてあります。

第二条 この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。第八条を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。

 

具体的には、 

  1. 物品と認められるもの (建築物、キャラクター、ショーウィンドウのディスプレイ、花火などはNG)
  2. 物品自体の形態 (ネクタイの結び目の形態などはNG)
  3. 視覚に訴えるもの(肉眼で認識されるもの)
  4. 視覚を通して美感を起こさせるもの

         (http://www.inpit.go.jp/blob/archives/pdf/design.pdfより)

であることが意匠権を受ける要件となります。

 

今はやりのゆるキャラ意匠権で保護されると思えますが、キャラクターは商標での保護になるようです。

 

他に特徴的な意匠としては、

  • 物品の一部分の形態について意匠登録を受けようとする部分意匠
  • 意匠登録の日から最長3年間公開を遅らせることができる秘密意匠
  • スプーンフォークセットなどの組物の意匠

があります。

  

出願から登録までの流れは特許とほとんど同じです。審査請求制度はありません。

https://www.jpaa.or.jp/intellectual-property/designl/

 

ところで、話は飛びますが、意匠法は1888 年(明治 21 年)からあるらしいです!

https://www.jpo.go.jp/seido/rekishi/rekisi.htm

知的財産の世界は意外に古いんですね。 

 

それから、保護期間が5年延長されるようですね。今月5日に特許庁が法改正の素案を提出したとのことです。知りませんでした!勉強になります。

 

ではまた!ゆるゆる〜。

 

PCT出願後の流れ_2

みなさま、こんにちは!

 

前回の続きです。

   過去記事:PCT出願後の流れ - ゆる特許事務所

 

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PCT出願は、優先日から18ヶ月経過したあと、WIPO国際事務局によって国際公開されます。その際に発行される公報をWO公報や国際公報とよびます。

 

国際予備審査とは、国際調査機関の見解書に加えて、出願人が国際出願された発明の特許性に関する見解を欲しい際に請求する手続です。国際予備審査を請求する場合、期限がありますので気をつけましょう。

 

それから、国際出願した後に、出願の内容を変更することができます。国際段階で変更しておくと、各国移行したあとに、それぞれの国で、(翻訳文を提出する必要はありますが、)補正の手続きをする必要がなくなります。

補正の方法としては、19条補正と34条補正の2つの方法があります。

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感触では最近は34条補正の方をよく見る気がしますが、どうなんでしょうね〜。

ではまた!ゆるゆる〜。

 

参考:

https://www.jpo.go.jp/seido/tetsuzuki_ryuiten/pdf/02.pdf
 

PCT出願後の流れ

みなさま、こんにちは。

 

またまた台風が近づいております。今年は多いですね…何事もないことを祈っております。

 

さてさて、今日は、PCT出願した後の流れについてまとめてみます。

 

 過去記事:

   PCT出願の基本 - ゆる特許事務所

   PCT出願の手順について - ゆる特許事務所

 

PCT出願後、どの国の特許を欲しいのか検討する間、PCT出願自体は下記のような流れをたどります。

 

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 「出願の束」とよばれるだけあって、各国への出願を一手に引き受けている感じですね!

 

順番にまとめてみます。

 

「国際調査」とは、その発明に関する先行技術(関連のある発明)があるかどうかを 国際調査機関が調査することです。

国際調査の結果は、文献のリストなどが記載された「国際調査報告」として出願人に送付されます。また、国際調査報告と同時に送付される「国際調査見解書」には、その発明の特許性について、審査官による見解が記載されています。どの国に移行するかの参考になります。

 

ちなみに、国際調査機関をどこにするかは、PCT出願時に選択しておく必要があります。日本特許庁にてPCT出願する場合、出願書類が日本語の場合は、調査機関として日本しか選択できませんが、英語の場合は、日本、欧州、シンガポールから選択できます。

PCT出願費用も異なりますので注意しましょう。

国際出願関係手数料表 | 経済産業省 特許庁

 

続きは、また後日に!

ではまた。ゆるゆる〜。

 

参考:特許庁より:

http://www.jpo.go.jp/seido/s_tokkyo/pdf/s_tokkyo/text.pdf

 

 

識別番号について

みなさん、こんにちは!
また台風が近づいてきていますね。


今日は識別番号について書いてみます!

特許庁に出願する際に、出願人の情報として、

  • 住所又は居所
  • 氏名又は名称

が必要です。

ただ、一度出願するとそれらの情報が9桁の識別番号に紐づけられます。識別番号が付与されると、その後、その出願人に対して手続したい場合は、

  • 識別番号
  • 氏名又は名称

を記載します。住所を細かく記入する必要がなくなり、とても便利です。

名称と住所が同じでないと使えないので、もし住所が異なれば、新たな識別番号が付与されてしまいます。

国内の出願人の場合、そのようなことはほとんどありませんが、外国の出願人の場合、PCT国内移行の際にWO公報の住所がバラバラだったり、パリルート出願の場合でも依頼された出願内容が統一されていなかったりして、ひとつの出願人につき、複数の識別番号が付与されてしまうことがあります。

郵便番号がついている、ついていないぐらいの違いであれば、同じ識別番号を使用できますので、安易に識別番号を増やさないようにする方がいいでしょう。

どうしてかというと、包括委任状をいただいている場合、包括委任状番号はひとつの識別番号に紐づけられるので、複数の識別番号を使っていると、紐づけられていない番号を使用している案件には、包括委任状番号を使用できないという事態になってしまうからです。そのような事態になった場合には、クライアントから新たに包括委任状をいただくわけにはいかないので、識別番号を統合する手続きをしましょう。識別番号重複届出書を提出することで簡単に手続きできます。

 

それから、ひとつの出願人に対して付与された識別番号は他の特許事務所と共有できます。ある事務所が、識別番号の住所変更や名称変更の手続きをすると、その識別番号を使っている案件すべてに影響をうけますので、「知らないうちに住所が変わっていた!」というのもよくある話です(笑)

ちなみに、登録後は、案件ごとの管理になり、識別番号は使用できません。もし名称変更や住所変更をしたい場合でも、一案件づつ表示変更届を提出することになります。

 

ではまた!ゆるゆる〜。

 

参考:

http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/binran_mokuji/s09.pdf

委任状について - ゆる特許事務所

表示変更登録申請書 | 経済産業省 特許庁

名義変更について

みなさま、こんにちは!

台風が近づいていますが、大きな災害とならないことを祈っております。

 

今日は、名義変更について書いてみたいと思います。

 

(関連記事:中途受任について - ゆる特許事務所

 

名義変更と移転登録は手続が異なるので、まずは名義変更から・・・

 

名義変更は特許法34条の4に書かれています。

第三四条 

4 特許出願後における特許を受ける権利の承継は、相続その他の一般承継の場合を除き、特許庁長官に届け出なければ、その効力を生じない。

一般承継とは合併のことなどをさしますが、これも特許庁への届出は必要です。

5 特許を受ける権利の相続その他の一般承継があつたときは、承継人は、遅滞なく、その旨を特許庁長官に届け出なければならない。

 

 

一般的な企業間の権利譲渡による名義変更は、特定承継とよばれます。

特定承継の場合は「出願人名義変更届」、一般承継の場合は「出願人名義変更届(一般承継)」という書類を提出します。

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出願人名義変更届には、「譲渡人は特許を受ける権利を承継人に譲りますよ」と書かれた譲渡証を添付します。ちなみに、まだ特許は登録されていないので特許権をゆずることはできません。ゆずることができるのは、「特許を受ける権利」です!

譲渡証には、

・譲渡人(もとの出願人)の名称、住所、印鑑(外国人の場合はサイン)

・承継人(権利を譲りうけるもの)の名称、住所

・出願番号

代理人の情報(特許事務所の情報)

が書かれている必要があります。

通常、企業から企業に譲渡される場合、買収などでお金が動く場合がありますが、特許庁に提出する譲渡証にはそれらの金額については記載する必要はありません。

 

それから、代理権を証明するための 委任状も添付します。

(関連記事:委任状について - ゆる特許事務所

 

ひとことで名義変更といっても、単純にA→Bになるだけでなく、

A→B、C(2者に譲る)だったり、

A、B→C(単独の出願人になる)だったり、

A→B→C(譲り譲って、結局別の第三者のものになる!)だったり、

いろいろなパターンがありますので、クライアントの要望をよく確認することが大切です!

 

ではまた!ゆるゆる〜。

 

参考:

各種届(PDF:193KB)

https://www.jpo.go.jp/seido/tetsuzuki_ryuiten/pdf/01.pdf

 

発明者の追加や削除の手続き

こんばんは!ゆる特許です。

今日も1日暑かったですね〜。熱中症には気をつけましょう。

 

今日は、発明者の追加や削除の手続きについて書いてみます。

 

まず、このブログですでに散々登場している「発明者」とは何か、というと、特許法にその定義は書かれておらず、学説によると、

 

発明者とは、当該発明の創作行為に現実に加担した者だけを指し、単なる補助者、助言者、資金の提供者あるいは単に命令を下した者は、発明者とはならない。

 

参考:https://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/pdf/tokkyo_6/paper07_1.pdf

 

とのことです。特許法に書かれていないんですね!

つまり、その発明が生み出されることに直接関わった人のことをいい、データを作るお手伝いをした人やお金を出すことによりサポートした人は発明者には含まれません。

 

特許事務をしていると、発明者の追加や削除について、結構頻繁に依頼をうけます。

手続きとしては、 出願した内容を「補正する」という形で、「手続補正書」に「宣誓書」という書類を添付して、特許庁に提出します。

 

宣誓書は下記の2種類が必要です。たとえば追加の場合は、

  1. 追加される発明者Aが捺印するための宣誓書:「私Aはこの出願に対して、他の発明者と同等の真の発明者です」と書かれています。
  2. 既存の発明者が捺印するための宣誓書:「発明者Aはこの出願に対して、私たち発明者と同等の真の発明者です」と書かれています

外国の発明者の場合は、英語で書かれた宣誓書に、捺印ではなくサインをし、宣誓書を日本語に訳した訳文ととともに提出します。

  

なお、この手続きは出願が継続中の場合に限り可能なため、特許になってしまうと手続きができません。もし、発明者から宣誓書が返送されるのを待っている間に、特許査定が発送されてしまったら、特許料納付までに手続補正書と宣誓書を提出するようにしましょう。ちなみに、特許料納付期限は1月延長できるので、「外国の発明者から宣誓書が届かない!」というような時には、期限を延長するといいですよ。

 

ではまた!ゆるゆる〜。

 

参考:

https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/binran_mokuji/21_50.pdf