ゆる特許事務所

特許事務員による特許事務員のためのブログです。特許法をはじめ、特許事務に関わることをゆるゆると書いています。よろしくお願いいたします!

意見書&手続補正書の基本

こんにちは!ゆる特許です。ゴールデンウィークも今日で終わりですね!

今日は、拒絶理由通知に応答する時に提出する意見書と手続補正書に注目してみましょう。

弁理士が意見書と手続補正書を作成したら、特許事務が内容をチェックしてから特許庁に提出します。必要項目に間違いがないか、誤字脱字がないかを主にチェックします。必要項目を理解しておきましょう。

◎意見書

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【あて先】:「特許庁審査官殿」が基本ですが、審査官の名前を記入してもOKです。

事件の表示:出願番号を正しく記入します。

特許出願人代理人: 出願人や代理人の情報を正しく記入します。

【発送番号】:拒絶理由通知には6桁の発送番号が書かれています。応答する拒絶理由通知の発送番号を記入します。

【意見の内容】:弁理士が反論する内容を記入しています。誤字脱字、矛盾していることはないかチェックします。事務的なチェックですので、技術的な内容はわからなくてOKです。

 

手続補正書

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【あて先】:「特許庁長官殿」が基本ですが、特許庁審査官殿」としたり、審査官の名前を記入してもOKです。

【事件の表示】:出願番号を正しく記入します。

【補正をする者】【代理人】: 出願人や代理人の情報を正しく記入します。

【補正により増加する請求項の数】【手数料の表示】:審査請求時より請求項の数が増える場合、【補正により増加する請求項の数】に増えた請求項の数、【手数料の表示】に増えた請求項分の審査請求料を記入します。予納台帳から自動で引き落とされます。請求項の数が変更しない、減少する場合はこれらの項目は不要です。

【手続補正1】:弁理士が補正する内容を記入します。特許請求の範囲を補正する場合は、請求項のかかり(従属項)に矛盾がないか気をつけましょう。

例えば、

「請求項1:〜の装置。

 請求項2:〜〜請求項1に記載した装置。」

のように、請求項2が請求項1を従属しているなら、文末は請求項1と同じ「装置」でなくてはいけません。

ちなみに、【発送番号】は手続補正書には記入する必要はありませんが、書いてもOKです。(不服審判後の拒絶理由通知の場合は必須です。)

 

拒絶査定、不服審判請求した後に発送された拒絶理由通知の場合は、意見書も手続補正書も記載の仕方が若干変わりますが、またそのうちご説明します〜。

 

ではまた!ゆるゆる〜。

拒絶理由通知の基本

こんにちは!ゆる特許です。

 

今日は、拒絶理由通知について説明します。

出願、審査請求したあと、そのまま特許査定が出て特許になるのがいちばん理想ですが、残念ながら、なかなかうまくはいかず、大半は拒絶理由通知という書類が発送されます。簡単に説明すると、審査官が「〇〇な理由で特許にはなりません」と伝えてくる書類です。

特許になるための主な要件として、「新規性」と「進歩性」というものがあります。

新規性:公然に知られた発明でないこと(特許法29条第1項)。つまり、誰も知らない発明でないとダメですよ、ということです。
進歩性:その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができないこと(特許法29条第2項)。つまり、同じ分野の専門家が考えつくようではダメですよ、ということです。

これらの要件を満たせないときに、過去に同じような内容で出願された発明の公報を引用文献として、拒絶理由通知が発送されます。

これに対して、出願人(または代理人である弁理士)は、意見書や手続補正書を提出します。応答期限は国内の出願人は拒絶理由通知の発送から60日(2月延長可能)、外国の出願人は3月(3月延長可能)です。(延長については拒絶査定不服審判後は制度が異なります)
 
特許事務は何をするかというと、拒絶理由通知をお客様に送ったり、弁理士が作成した意見書や手続補正書をチェックしたり、特許庁に提出したりします。
特許庁書類のチェックは、はじめは難しいかもしれませんが、徐々に慣れてきますよ。
 
ではまた!ゆるゆる〜。
 


職務発明制度について

こんにちは!ゆる特許です。

今日は「職務発明制度」について説明します。特許事務の日常では触れる機会は少ないですが、お客様から質問されることもあるので、基本的なことは知っておきたいな〜と思います。

「発明」をする人のことを「発明者」とよびますが、その発明の「特許を受ける権利」は、その発明を生み出した発明者にあります。

ただ、一般的に、発明者は企業や団体の従業員であり、仕事として研究を続け発明を完成させることになるため、その企業や団体も「利益が欲しい!」と考えるわけです。

職務発明制度は、このような発明者が仕事として完成させた発明に対して、発明者(以下:従業員等)と企業や団体(以下:使用者等)の権利を示しています。

特許法では、35条に記載されています。

35条は平成27年に法改正があり、「あらかじめ合意があれば発明が生まれた時から特許を受ける権利は使用者等に属する」と変わりました。

また、承継する代わりに従業員が受けていた対価は「相当な対価」から「相当な金銭その他の経済上の利益」となり、金銭でなくてもいい、ということになったそうです。

企業が出願人として出願をすることがほとんどですが、発明者から出願人への権利移行をスムーズにするためなのかな?と思います。

 

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特許庁のホームページに掲載されているガイドラインがわかりやすいのでご参照ください。http://www.jpo.go.jp/seido/shokumu/pdf/shokumu/09.pdf

 

ではまた〜。ゆるゆる〜。

審査請求の基本

こんにちは!ゆる特許です。 

 

今日は、「審査請求」について、説明してみます。(「出願日がなぜ重要なのか」については説明が難しいのでそのうちにします!ゆるゆる~。)

 

審査請求とは、「特許を取得できるかどうか、出願した内容を審査してください」と特許庁に申請する手続きですが、特許法では主に48条の3に書かれています。

 

まず、大切な点としては、出願から3年という期限があります。

「期限管理」は特許事務の最も重要な仕事です。期限を逃すことを、「落とす」とか「徒過する」などと言いますが、審査請求期限を含め、期限を落とすことは、特許事務員として絶対に避けなければいけません。平成26年の法改正により、審査請求期限を徒過した場合の回復措置もとられるようになりましたが、今のところ回復が認められた案件はないようですので、引き続き期限管理の大切さは変わりませんね。

 

また、審査請求をする際には特許庁にお金を払う必要があります。

審査請求料の計算方法は、118,000円+(請求項の数×4,000円)で結構なお金がかかります。出願人は、お金をかけてでも本当に特許取得したいのか、この段階でもう一度よく検討することになります。出願人が「この出願は必要ない」と判断した場合は、審査請求をしません。審査請求しないと、出願を取り下げたとみなされます。

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ではまた!ゆるゆる~

出願の種類

こんにちは!ゆる特許です。

花粉症の方はこの時期つらいですね…私もマスクが外せません。

 

今日は、特許庁に提出される出願の種類について説明してみます。 

*通常出願:弁理士が明細書を書き、新規の出願として提出されるものです。

*国内優先:すでに出願した内容(A)を改良して新たに出願(B)することをいいます。Aが出願された日から1年以内にBを出願することが条件です。国内優先をすると出願AはAの出願日から1年4月で自動消滅します(みなし取り下げといいます)。出願Bの出願日は、Aの出願日と同じ日になります。

*分割出願:すでに出願した内容(A)から一部を抜き取って新たに出願(B)することをいいます。国内優先と違って出願Aはみなし取り下げにはなりません。出願Bの出願日は、Aの出願日と同じ日になります。

他には「変更出願」もありますが、頻度が少ないので、ここでは省略します。

 

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国内優先や分割出願は、出願Bの出願日が出願Aの出願日に繰り上がるんですね! 

「出願日がいつなのか」がなぜ重要なのかは、次回に説明したいと思います!

 

ではまた!ゆるゆる〜。

出願書類の基本

こんにちは!ゆる特許です。

 

今日は、出願するときに提出する書類(出願書類)について書いてみます。

出願書類は、「願書」「明細書」「特許請求の範囲」「要約書」「図面」の5つの項目に分けられます。

願書:発明者や出願人などの情報を記載します。特許事務所の弁理士が代理人であれば代理人名も記載します。

明細書:発明に関する詳細の説明を記載します。

特許請求の範囲:特許を取得したい内容を記載します。「クレーム」と言ったりもします。特許を取得したい内容はあくまでも「特許請求の範囲」に記載する必要があります。

要約書:発明を簡単に説明します。

図面:発明に関する図面を添付します。省略することもできます。

 

少しずつ特許法を見てみましょう。

出願書類に関することは特許法第36条に記載されています。

ちょっと言葉が難しく感じますが、上記の説明と同じことが書かれています。

例えば、特許請求の範囲については「すべてを記載」と書かれているので、明細書に書かかれてあるだけの内容は特許取得できないことになります。また、図面については、「必要な図面」と書かれているから、省略もできるということになりますね。

 

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ではまた!ゆるゆる〜

内内、内外、外内とは?

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こんにちは!ゆる特許です。

 

今日の話題は、これから特許事務をはじめたいと思っている方に向けてとなりますが、特許事務の仕事分担としてよく聞くことになる、「内内」「内外」「外内」という言葉について説明します。

 

*「内内(ないない)」とは、日本の出願人が日本の特許を取得することをいいます。「内→内」の流れで、図では赤色の線で示してあります。

*「内外(ないがい)」とは、日本の出願人が外国の特許を取得することをいいます。「内→外」の流れで、図では青色の線で示してあります。

*「外内(がいない)」とは、外国の出願人が日本の特許を取得することをいいます。もうお分かりかと思いますが、「外→内」の流れで、図ではオレンジの線で示してあります。

出願人は1つの発明に関して、自国だけでなく、他国の特許も取得することができます。こうやって見てみると世界中で特許取得が行われており、特許事務として関われると思うとワクワクしてきますね!

特許事務もこの3パターンのどの部分を担当するかによって、必要な知識も変わってきます。

「内内事務」や「外内事務」は、日本特許庁に対する手続きを担当することになるので、特許法を勉強する必要があります。加えて、外内事務は、海外の代理人とのやりとりが発生するため、英語が必要となります。

「内外事務」は、日本の出願人が外国の特許を取得する手続きを担当することになるため、それぞれの国の法律を勉強する必要があります。基本的な特許取得の流れは、どの国も大きく変わりませんが、期限が異なっていたり、その国独自の手続きがあったりします。また、外内事務と同様に、海外の代理人とのやりとりが発生するため、英語が必要となります。内外事務のことを外国事務とよぶこともあります。

 

どの部分を担当するにしても、それぞれ大変さはありますが、やりがいも充分にある仕事といえますね。

 

ではまた。ゆるゆる〜。