拒絶審決とは?
こんにちは!ゆる特許です。
三連休ですが、みなさん、いかがおすごしですか?気持ちのいい秋晴れが続いてますね~。
今日はそんな秋晴れとは正反対(笑)、拒絶審決について書いてみます。審決拒絶と言ったりもします。
拒絶査定を受け取って不服審判請求を提出してもなお、審査官が納得しない場合に、拒絶審決がだされます。
(拒絶査定については、http://yurutokkyo.hatenablog.com/entry/2017/09/17/161646)
特許法を見てみると、156条と157条に書いてあります。
(審理の終結の通知)第百五十六条〜略〜4 審決は、第一項又は第二項の規定による通知を発した日から二十日以内にしなければならない。ただし、事件が複雑であるとき、その他やむを得ない理由があるときは、この限りでない。
「審決があつたときは、審判は、終了する。」とは、「審判のステージは終了して、次の審決のステージにうつります」ということですね、きっと。
拒絶審決なんて受け取ったら、もうそれはえらいこっちゃです。これに反論するためには、知的財産高等裁判所(略して、知財高裁と言います。)に、特許庁を相手に、審決取消訴訟を起こすことになります。裁判ですよ!
原告:出願人(代理人として特許事務所の弁理士が関わります)
被告:特許庁
となるわけです。
「この審決の結果は納得できないから、取り消せ!」という裁判です。どうしても必要な特許は、このような方法を使ってでも獲得していこうとします。
事務の仕事としては、まずはクライアントに審決を受け取ったことを連絡することになります。大抵は諦めることが多いかと思いますが、訴訟に進むことになったら、訴訟専門の担当者にバトンタッチする事務所もあるでしょうし、そのまま審決の担当者が担当する事務所もあるでしょう。(訴訟関係についてはのちほどご説明していきたいと思います。)
ではまた!ゆるゆる〜。
委任状について
こんにちは。ゆる特許です。
大型台風、心配ですね…
今日は、委任状について書いてみます。
特許事務所は、弁理士が出願人の代わりに手続きをおこない、その代理業務に対して手数料をいただくことで成り立っています。
大切な手続きなので、その出願人が本当に手続きを依頼したのか、つまり、その弁理士は代理権をもっているのかどうか、特許庁に証明する必要があります。
そのために提出する書類が「委任状」です。
委任状には以下の2種類があります。
- 包括委任状
その出願人が依頼した全案件に適用されます。包括委任状提出書という書類に委任状を添付して提出すると、1月ほどで、「包括委任状番号通知」という書類が届きます。代理権の証明が必要な場面では、そこに書かれている「包括委任状番号」を書類に記載すればOKです。
包括委任状をもらえるというのは、それだけ出願人から信頼されているということですが、事務担当者の作業も、後々、とってもスムーズになります。
- 個別委任状
出願番号や特許番号が記載された委任状で、それぞれの案件にのみ効力を発揮します。代理権を証明することが必要な書類を提出する際に、一緒に提出します。任されている案件が少なかったり、「包括委任状はわたさない」という出願人の方針があったりする場合に、こちらが使われます。1つの案件につき、一度提出すればOKです。
どちらにしても、事務所でテンプレートを用意しておけば、毎回時間がかかるような作業ではありません。出願人の名称や住所を間違えないように、気をつけて作成してくださいね!
なお、代理権の証明が必要な場面としては、
- 出願人にとって権利の放棄となる出願取下
- 出願から審判へとステージが代わる不服審判請求
- 権利の所有者が代わる名義変更、移転登録
などです。
出願時から関わっていれば出願する際には必要ではありませんが、他の特許事務所が出願した案件を途中で引き継ぐ場合(中途受任と言います)には、引き継ぐタイミングで代理権の証明が必要になります。
出願人が、日本か外国かの違いとしては、
日本の出願人の場合には、日本語で書かれた委任状に印鑑をおしてもらったものを提出します(韓国の出願人も日本と同じ印鑑文化なので印鑑を押す場合があります)。
外国の出願人の場合には、英語で書かれた委任状にサインをもらったものとその日本語訳を一緒に提出します。
そういえば、27年の法改正で、外国語出願が英語だけでなく他の言語もOKになったけど、委任状はどうなっているのかな?
ネットで調べてみましたが、よくわかりませんでした。委任状は特許事務所が作ることがほとんどで、外国の出願人が英語以外の外国語で自ら作成して送ってきた。。。なんてことはまずないと思いますが、まったくないとも言い切れませんね。万が一、そんな場面に出くわしたら特許庁に聞いてみたいと思います!
ではまた!ゆるゆる〜。
レシプロって何?
こんにちは!ゆる特許です。
今日はちょっと番外編です。
特許事務所で勤めていると、
「レシプロ狙うためにあの事務所にしてみましょう」とか、
「あの事務所、いいんだけど、レシプロがないからね〜」などと、
会話が聞こえてくることがあります。
なにげなく聞こえてくる「レシプロ」という言葉はどういう意味でしょうか?
reciprocity(相互関係、相互利益)の略と思われ、特許業界では、海外の特許事務所との仕事の交換のことをいいます。
日本の出願人が海外の特許を取得する際には、日本の特許事務所は海外の特許事務所に仕事の依頼をします。反対に、海外の出願人が日本の特許を取得する際には、海外の特許事務所は日本の特許事務所に仕事を依頼します。
このように仕事のやりとりをして、持ちつ持たれつしているわけです。仕事を依頼しているのに、見返りとしての仕事を受けることができないとき、冒頭のような会話がされるわけなんですね〜。
事務としては、内外事務が海外に仕事を依頼することによって、今度は、外内事務が仕事を受任する、という流れになります。
どの事務所に仕事を依頼するかは所長や弁理士が決めることが多いですが、判断の際に意見を聞かれることもあると思います。海外の事務所についての事務的な情報は、内外事務と外内事務で情報共有しておく方がいいですね!
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不服審判請求とは?
こんにちは〜。
台風が心配な三連休、みなさん、いかがお過ごしでしょうか?
特許事務は主に平日に勤務するので、ご自宅で過ごされている方が多いのではないでしょうか。
さてさて、今日は前回の続きで、不服審判請求について書いてみたいと思います。
拒絶査定が発送されると、それに反論するためには、「不服審判請求」という手続に進みます。
特許法には、121条に書かれています。
(拒絶査定不服審判)第百二十一条 拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があつた日から三月以内に拒絶査定不服審判を請求することができる。
拒絶査定を受け取ってから、3月以内に「審判請求書」という書類を提出します。
ちなみに、外内事務が担当する海外の出願人(在外人)に対する期限は4月となります。
根拠はこちらです。特許庁HPより↓
「審判請求書」の様式については、下記をご覧ください。
事務的に大事なことは、一番下に「包括委任状番号」を書くことになっている点です。
ある発明に対して、出願の段階から代理人として関わっていたとしても、審判請求書を提出する際には、あらためて、代理権を証明する必要があります。
出願時から審判へとステージが変わるためです。
もし包括委任状をもらっていない出願人であれば、この時点で委任状をとりよせる必要があります。もし共願人がいれば、共願人の委任状も必要ですので、忘れないようにしましょう。
ではまた!ゆるゆる〜。
拒絶査定について
こんにちは!ゆる特許です。
8月も終わりですね〜。
今日は拒絶査定について書いてみます。
審査官が「◯◯な理由で特許にできないよ」と通知するのが拒絶理由通知で、その通知には、意見書と手続補正書を提出して応答すると以前に説明しましたが、それでもなお、「そんな説明じゃ納得できないし、やっぱり特許にできないよ」と通知されるのが、拒絶査定です。残念・・・
特許法では、49条「拒絶の査定」に
審査官は、特許出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。
とかいてあります。あとはずらずらと書いてあるので省略します。どうやら、49条に、審査官が出願人に「特許にできないよ」と言うことが許されている内容が記載されているようです。
審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。
誤訳訂正書について
こんにちは!ゆる特許です。
お盆に入り、夏休みを迎えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
今日は、誤訳訂正書について調べてみます。
審査請求時や拒絶理由通知応答時に、手続補正書の代わりに、誤訳訂正書という書類が提出される場合があります。
いったい、手続補正書と何がちがうんでしょう??
特許法では、17条の2第2項に書かれています。
2 第三十六条の二第二項の外国語書面出願の出願人が、誤訳の訂正を目的として、前項の規定により明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をするときは、その理由を記載した誤訳訂正書を提出しなければならない。
つまり、
- 外国語出願している
- 誤訳の訂正を目的としている
- 明細書、特許請求の範囲又は図面について補正する
という条件を満たす場合に提出できるそうです。
誤訳の訂正ができる期間は、補正のできる期間と同じです。
それから、特許庁費用が19,000円かかります。
参考:
https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/syutugan_tetuzuki/02_10.pdf
普段見慣れている書類もあらためて調べてみると、勉強になりますね〜。
ではまた!ゆるゆる〜。
補正の可能時期
こんにちは!ゆる特許です。
毎日暑い日が続きますね〜。
今日は、補正の可能時期についてご説明してみます。
特許庁に提出した書類の内容を修正して提出しなおすことを「補正する」といいますが、出願書類(明細書、特許請求の範囲、要約書、図面)は補正できる時期が決まっています。
特許法では17条、17条の2、17条の3あたりに書かれています。
まとめると・・・
*明細書、特許請求の範囲、図面の補正
- 出願日から第1回目の拒絶理由通知に対する応答期間内(なお、拒絶理由が通知されることなく特許された場合は、特許査定の謄本の送達日まで補正可能)
- 二回目以降の拒絶理由通知に対する応答期間内
- 拒絶理由通知を受けた後の文献公知発明に係る情報の記載についての通知に対する応答期間内
- 拒絶査定不服審判を請求する場合において、その審判の請求と同時
→図の赤い星マークにあたる部分です。
拒絶理由通知または特許査定が発送されるまでは補正ができます。請求の範囲を補正する場合は、請求項の数によって審査請求料が変わるので、審査請求より前か、もしくは同時に補正することが多いです。
それから、一度拒絶理由通知が発送されると、その応答期間のみ補正ができます。また、拒絶査定が発送されると、不服審判請求と同時に提出する場合のみ補正ができます。
3. はあまり見かけない気がしますが、こういう時期もあるんですね。
*要約書の補正
特許出願の日から1年4月まで。ただし、出願公開の請求がされた後を除きます。
→図の黄緑のハートマークにあたる部分です。この時期をすぎると補正ができませんので覚えておきましょう。