パリルート出願の基本
こんにちは!ゆる特許です。
もう7月ですね。時間が経つのが年々早くなります(笑)
今日は、パリルート出願についてご説明してみます。
海外に出願する場合、前回ご説明したPCT経由の出願の他に、パリルート出願があります。パリ条約に基づいている出願ですが、簡単に言うと、直接各国に出願することです。
そもそも、特許の世界には、同じ発明なら先に出願した方が特許を取得できるという「先願主義」という考え方があります。つまり、出願日が早い方が有利になります。
このパリルートの制度を使い、基礎出願(元となる出願)の出願日から1年以内に各国に出顔すれば、各国の出願日が基礎出願の出願日と同じになる、つまり、1年近い期間が繰り上がるというメリットがあります。
このように、基礎出願をもとに新たに出願して、新しい出願の出願日を繰り上げることができる権利を優先権と言い、その優先権を主張することを優先権主張といいます。
パリルート出願も優先権主張のひとつです。(他には、先日ご説明したPCT出願や国内優先があります。)
PCT出願よりパリルート出願を選ぶ方がいいのは、出願したい国が決まっている、出願する国が少ない、早く特許にしたい、などの場合です。
ではまた!ゆるゆる〜。
PCT出願の基本
こんにちは!ゆる特許です。
今日はPCT出願(国際出願)について勉強してみましょう。
海外の特許を取りたい!と思った時にどうするかというと、もちろんその国に出願をして特許を取得するわけですが、ではでは、もし5カ国、10カ国、15カ国…多くの国の特許を取りたいと思ったら、出願手続だけでもとても大変なことになります。
PCT出願(国際出願)はそんな出願の手続きを1度ですませることができる制度です!
この制度を使って出願できる国はPCT加盟国にかぎられます。台湾など加盟していない国には直接出願する必要があります。
PCT出願をしたあとで各国の手続きに進んでいくことを「国内移行」といいますが、国内移行期限は移行国により異なります。基礎出願というPCT出願の元となる出願が存在していることが多いですが、国内移行期限は基礎出願日から30月や31月などになります。基礎出願がない場合はPCT出願日から起算します。
したがって、実際にどの国の特許をとろうかということを後でゆっくり考えることができます。基礎出願から1年以内にPCT出願するので、国内移行期限はPCT出願してから約18月になるためです。直接それぞれの国に出願する場合は、出願する段階でどの国に出願するかを決めなくてはいけません。
それから、PCT出願した後に、出願人が変わる、発明者を追加したい、など、出願内容を変更する必要が出た場合に、優先日から30月より前であれば、受理官庁(日本であれば特許庁)や国際事務局というところに変更手続きをすればすべての移行国に適用されます。各国で変更手続きをしなくてOKです。
世界中で特許をとってビジネスを広げたい企業にとって、とても便利な制度ですね!
ではまた!ゆるゆる〜。
特許証について
こんにちは!ゆる特許です。
今日は特許証についてお話ししてみます。
特許料を納付すると無事に登録となりますが、納付してから1ヶ月ほどで「特許証」が届きます。 厚紙で作られており賞状のようです。(添付の特許証は特許庁ホームページから引用しました。)
特許証には下記のような情報が書かれています。
特許番号:特許1件ずつに付与される大切な番号です。特許証を受け取って初めて知ることができます。
発明の名称、特許権者、発明者、出願番号:情報が間違っていないか確認しましょう。
出願日:特許の有効期間は、出願日から20年です。登録日から起算されるわけではないので注意しましょう。
登録日:4年目の年金期限は登録日から3年後に設定されます。
では、特許証のことは特許法にはどのように書かれているのでしょうか。
調べたところ、28条に書かれていました。
特許庁長官は、特許権の設定の登録があつたとき、第七十四条第一項の規定による請求に基づく特許権の移転の登録があつたとき、又は願書に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは図面の訂正をすべき旨の決定若しくは審決が確定した場合において、その登録があつたときは、特許権者に対し、特許証を交付する。
2 特許証の再交付については、経済産業省令で定める。
ちなみに、特許証はなくしてしまったら、再交付してもらうことができます。再交付についても「経済産業省令で定める」と記載されていますね。
弁理士の方にとっていちばんホッとするのは特許査定が発送された時かな〜と思いますが、特許事務にとっては、特許査定が発送された後も納付期限の管理など引き続き作業があるので、この特許証を受け取った時がいちばんホッとするかな??
ではまた!ゆるゆる〜。
特許査定&特許料納付の基本
こんにちは!ゆる特許です。さわやかな土曜日の朝ですね♪
今日は特許査定と特許料納付について書いてみます。
特許法には、特許査定については、
「第51条 審査官は、特許出願について拒絶の理由を発見しないときは、特許をすべき旨の査定をしなければならない。」
特許料の納付期限については、
「第108条 前条第一項の規定による第一年から第三年までの各年分の特許料は、特許をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に一時に納付しなければならない。」
と書かれています。
弁理士が作成した意見書や手続補正書を審査官が認め、特許にしてもいいと思ったら、「特許査定」という書類が発送されます。これが、特許法で言うところの、「特許をすべき旨の査定」ですね。特許査定の1ページ目下の方にも書かれていますが、特許査定を受け取った日から30日以内に「特許料」というお金を支払うことで、登録となります。
特許事務は、この期限を忘れないように管理し、特許料を払います。特許料を払ってはじめて特許になります。特許になるまであと一歩です!
この特許料は、請求項の数により、支払う金額が変わってきます。(詳しくは特許庁ホームページを見てみてください↓
https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/ryoukin/hyou.htm#tokyoryou)
登録になった後も権利を維持し続けるには、毎年「年金」と呼ばれるお金を払う必要がありますが、最初に払う特許料は、この年金の1〜3年分にあたります。したがって、特許料を納付し、登録になったあとは、3年後に次の4年目の年金を払うことになります。
ではまた!ゆるゆる〜。
意見書&手続補正書の基本
こんにちは!ゆる特許です。ゴールデンウィークも今日で終わりですね!
今日は、拒絶理由通知に応答する時に提出する意見書と手続補正書に注目してみましょう。
弁理士が意見書と手続補正書を作成したら、特許事務が内容をチェックしてから特許庁に提出します。必要項目に間違いがないか、誤字脱字がないかを主にチェックします。必要項目を理解しておきましょう。
◎意見書
【あて先】:「特許庁審査官殿」が基本ですが、審査官の名前を記入してもOKです。
【事件の表示】:出願番号を正しく記入します。
【特許出願人】【代理人】: 出願人や代理人の情報を正しく記入します。
【発送番号】:拒絶理由通知には6桁の発送番号が書かれています。応答する拒絶理由通知の発送番号を記入します。
【意見の内容】:弁理士が反論する内容を記入しています。誤字脱字、矛盾していることはないかチェックします。事務的なチェックですので、技術的な内容はわからなくてOKです。
◎手続補正書
【あて先】:「特許庁長官殿」が基本ですが、「特許庁審査官殿」としたり、審査官の名前を記入してもOKです。
【事件の表示】:出願番号を正しく記入します。
【補正をする者】【代理人】: 出願人や代理人の情報を正しく記入します。
【補正により増加する請求項の数】【手数料の表示】:審査請求時より請求項の数が増える場合、【補正により増加する請求項の数】に増えた請求項の数、【手数料の表示】に増えた請求項分の審査請求料を記入します。予納台帳から自動で引き落とされます。請求項の数が変更しない、減少する場合はこれらの項目は不要です。
【手続補正1】:弁理士が補正する内容を記入します。特許請求の範囲を補正する場合は、請求項のかかり(従属項)に矛盾がないか気をつけましょう。
例えば、
「請求項1:〜の装置。
請求項2:〜〜請求項1に記載した装置。」
のように、請求項2が請求項1を従属しているなら、文末は請求項1と同じ「装置」でなくてはいけません。
ちなみに、【発送番号】は手続補正書には記入する必要はありませんが、書いてもOKです。(不服審判後の拒絶理由通知の場合は必須です。)
拒絶査定、不服審判請求した後に発送された拒絶理由通知の場合は、意見書も手続補正書も記載の仕方が若干変わりますが、またそのうちご説明します〜。
ではまた!ゆるゆる〜。
拒絶理由通知の基本
こんにちは!ゆる特許です。
今日は、拒絶理由通知について説明します。
出願、審査請求したあと、そのまま特許査定が出て特許になるのがいちばん理想ですが、残念ながら、なかなかうまくはいかず、大半は拒絶理由通知という書類が発送されます。簡単に説明すると、審査官が「〇〇な理由で特許にはなりません」と伝えてくる書類です。
特許になるための主な要件として、「新規性」と「進歩性」というものがあります。
これらの要件を満たせないときに、過去に同じような内容で出願された発明の公報を引用文献として、拒絶理由通知が発送されます。
これに対して、出願人(または代理人である弁理士)は、意見書や手続補正書を提出します。応答期限は国内の出願人は拒絶理由通知の発送から60日(2月延長可能)、外国の出願人は3月(3月延長可能)です。(延長については拒絶査定不服審判後は制度が異なります)
職務発明制度について
こんにちは!ゆる特許です。
今日は「職務発明制度」について説明します。特許事務の日常では触れる機会は少ないですが、お客様から質問されることもあるので、基本的なことは知っておきたいな〜と思います。
「発明」をする人のことを「発明者」とよびますが、その発明の「特許を受ける権利」は、その発明を生み出した発明者にあります。
ただ、一般的に、発明者は企業や団体の従業員であり、仕事として研究を続け発明を完成させることになるため、その企業や団体も「利益が欲しい!」と考えるわけです。
職務発明制度は、このような発明者が仕事として完成させた発明に対して、発明者(以下:従業員等)と企業や団体(以下:使用者等)の権利を示しています。
特許法では、35条に記載されています。
35条は平成27年に法改正があり、「あらかじめ合意があれば発明が生まれた時から特許を受ける権利は使用者等に属する」と変わりました。
また、承継する代わりに従業員が受けていた対価は「相当な対価」から「相当な金銭その他の経済上の利益」となり、金銭でなくてもいい、ということになったそうです。
企業が出願人として出願をすることがほとんどですが、発明者から出願人への権利移行をスムーズにするためなのかな?と思います。
特許庁のホームページに掲載されているガイドラインがわかりやすいのでご参照ください。http://www.jpo.go.jp/seido/shokumu/pdf/shokumu/09.pdf
ではまた〜。ゆるゆる〜。