ゆる特許事務所

特許事務員による特許事務員のためのブログです。特許法をはじめ、特許事務に関わることをゆるゆると書いています。よろしくお願いいたします!

外国の出願人の出願について

こんばんは。ゆる特許です。

 

「外国の出願人(在外者)が出願できるのか?」という点について書いてみたいと思います。

 

特許法には、第8条に書かれています。

 

(在外者の特許管理人) 

第八条 日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有しない者(以下「在外者」という。)は、政令で定める場合を除き、その者の特許に関する代理人であつて日本国内に住所又は居所を有するもの(以下「特許管理人」という。)によらなければ、手続をし、又はこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定により行政庁がした処分を不服として訴えを提起することができない。

 

まず「在外者」を厳密に書くと、 「日本国内に住所を有しない者」ということです。政令で定める場合を除き」とありますが、下記にその特例が書かれています。

 

特許法施行令

(在外者の手続の特例)

第一条 特許法第八条第一項の政令で定める場合は、次に掲げる場合とする。

一 特許管理人を有する在外者(法人にあつては、その代表者)が日本国に滞在している場合

二 在外者が特許出願(特許法第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、同法第四十六条第一項又は第二項の規定による出願の変更に係る特許出願及び同法第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願を除く。)その他経済産業省令で定める手続を自ら行う場合  

 

一方で、国際出願(PCT出願)の場合は、通常の日本出願と異なります。

 

国際出願は、その出願人が締約国の居住者又は国民である場合、当該締約国の国内官庁(受理官庁)に提出することができます(条約第9条、第10条)

 

つまり、日本国においては、国際出願の出願人に日本企業が含まれていれば、国際出願を日本国特許庁(受理官庁)にすることができます。

 

反対に、 出願人が外国企業のみの場合は、日本国特許庁を受理官庁とできないので、国際事務局かその国の受理官庁に出願しなくてはいけません。なお、国際事務局は、すべてのPCT加盟国の国民又は居住者からの国際出願を受理官庁として受け付けています。

 

また、代理人についての規則としては、

 

出願人がその居住者若しくは国民である締約国、又は2人以上の出願人がある場合には、これらの出願人のうちのいずれかがその居住者若しくは国民である締約国の国内官庁又はその締約国のために行動する国内官庁に対して業として手続をとる権能を有する者は、国際出願について、受理官庁としての国際事務局に対し業として手続をとる権能を有します(PCT規則83.1の2)

 

とあるとおり、外国の出願人のみの国際出願の場合、日本の代理人が代理権を持つことはできません。

 

ではまた!ゆるゆる〜。

 

参考:

https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/document/syutugan_tetuzuki/02_01.pdf

https://www.wipo.int/pct/ja/filing/filing.html

PCT条約:

https://www.wipo.int/export/sites/www/pct/ja/docs/pct.pdf

PCT規則:

https://www.wipo.int/export/sites/www/pct/ja/texts/pdf/pct_regs.pdf