ゆる特許事務所

特許事務員による特許事務員のためのブログです。特許法をはじめ、特許事務に関わることをゆるゆると書いています。よろしくお願いいたします!

審決取消訴訟について

こんにちは!ゆる特許です。

卒業シーズン、桜も咲いて春らしくなってきましたね!

 

今日は、拒絶審決を受け取った後の話を書いてみたいと思います。

 

拒絶審決を受け取った後は裁判をするしかないため、特許をとることをあきらめる出願人がほとんどです。ですので、特許事務の方も、拒絶審決後の手続きを担当したことがある方は少ないかもしれませんね。

 

特許法では178条と179条に書かれています。

訴えを起こす先は東京高等裁判所の専属管轄、特許庁長官を被告とする、と書かれています。

特許法178条3〜5項には提出期限について書かれています。実際に訴状を提出する場合には、事前に、期限について裁判所に確認する方がいいかもしれません。

 

(審決等に対する訴え)

第百七十八条 取消決定又は審決に対する訴え及び特許異議申立書、審判若しくは再審の請求書又は第百二十条の五第二項若しくは第百三十四条の二第一項の訂正の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とする。

2 前項の訴えは、当事者、参加人又は当該特許異議の申立てについての審理、審判若しくは再審に参加を申請してその申請を拒否された者に限り、提起することができる。

3 第一項の訴えは、審決又は決定の謄本の送達があつた日から三十日を経過した後は、提起することができない。

4 前項の期間は、不変期間とする。

5 審判長は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、職権で、前項の不変期間については附加期間を定めることができる。

6 審判を請求することができる事項に関する訴えは、審決に対するものでなければ、提起することができない。

(被告適格)

第百七十九条 前条第一項の訴えにおいては、特許庁長官を被告としなければならない。ただし、特許無効審判若しくは延長登録無効審判又はこれらの審判の確定審決に対する第百七十一条第一項の再審の審決に対するものにあつては、その審判又は再審の請求人又は被請求人を被告としなければならない。

 

裁判を起こす場合は、知的財産高等裁判所に「訴状」を提出します。

訴状のイメージです(知財高裁HPより):

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提出物は以下のとおりです。 

 参考:http://www.ip.courts.go.jp/tetuduki/sojyo/index.html

  • 訴状

   正本:1部

   副本被告の数の部数

   写し3部(特許,実用新案) 2部(商標,意匠)

  • 審決謄本写し 訴状の正本・副本・写しの合計と同じ部数
  • 訴訟委任状
  • 法人資格証明書
  • 収入印紙
  • 郵便費用

 

正本には表紙に「正本」と書き、代理人の印を押します。

副本は表紙に「副本」と書くことだけが異なり、正本と同じように代理人の印を押します。特許庁長官が被告なので1部用意します。

写しとは正本のコピーになります。白黒のコピーでOKです。

 

資格証明書とは、その法人が「裁判をおこす資格をもつ法人である」ことを証明するために提出します。法務局ホームページより取り寄せることができます。在外人の場合には、「委任状にサインをした人がその法人の代表者であることを証明する」と記載された書類に対して、公証人がサインをしたものを提出します。

 

訴状は郵送も可能ですが、裁判が始まる大切な書類ですので、都内の方は直接持参する方がいいです。事務局の方が書誌的な内容をチェックしてくださいます。

 

訴状が受理されると、裁判所から被告である特許庁あてに副本が送られ、裁判がスタートします。

知的財産高等裁判所 | 審決取消訴訟(特許・実用新案)の進行について

 

初めて担当する場合でも裁判所から送られてくる書類をよく読みながら進めればいいので問題ありません。ただ、特許庁に対する手続きとは、感触が異なると思います。例えば、期限についても、弁理士と裁判所で話し合いながら決まることが多いです。裁判所から「いつごろなら提出できますか?」と聞かれたりします!

もしチャレンジできる機会があればぜひ担当してみてください。特許事務としての幅が広がって、おもしろいと思います!

  

ではまた!ゆるゆる〜。